千葉地方裁判所 昭和62年(わ)115号 判決
本店所在地
千葉県館山市北条二五五七番地
有限会社東伸商事
(右代表者代表取締役 金福東)
国籍
韓国
住居
千葉県館山市北条二五五七番地の一九
会社役員
金本吉雄こと金義男
一九四二年二月一八日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官泉良治出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社東伸商事を罰金二五〇〇万円に、被告人金義男を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人金義男に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社東伸商事(以下、「被告人会社」という)は、千葉県館山市北条二五五七番地に本店を置き、遊技場等の経営を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人金本吉雄こと金義男は、被告人会社の取締役であり、かつ同会社の実質的な経営者として、右会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人金義男は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する等の方法により、所得の一部を秘匿したうえ
第一 昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が、八一五二万四七九四円あったのにかかわらず、同年五月二五日、千葉県館山市北条一一六四番地所在の所轄館山税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一〇八六万六一九六円で、納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和六二年押第六四号の1)を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三三二八万円を免れ
第二 昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が、二億二八八七万九四一七円あったのにかかわらず、同年五月三〇日、前記館山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四二九一万〇六九〇円で、これに対する法人税額が一七三一万八三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額九七八二万四七〇〇円と右申告額との差額八〇五〇万六四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人金義男の当公判廷における供述
一 被告人会社代表者金福東の当公判廷における供述
一 被告人金義男の検察官に対する供述調書
一 長谷川福男の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の遊技収入調査書、景品売上調査書、景品仕入調査書、給料手当調査書、地代家賃調査書、厚生費調査書、雑費調査書、受取利息調査書、支払利息、割引料調査書、寄付金の損金不算入調査書、繰越欠損金の当期控除額調査書、現金調査書、普通預金調査書、定期預金調査書及び諸預金調査書
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 登記官作成の登記簿謄本
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の寄付金の損金不算入額調査書
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日事業年度分、昭和六二年押第六四号の1)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の青色欠損金の当期控除額調査書及び事業税認定損調査書
一 検察事務官作成の支払利息割引料調査書の金額訂正報告書
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日事業年度分、昭和六二年押第六四号の2)
(法令の適用)
被告人会社の判示各所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に被告人金義男の判示各所為はいずれも同法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人会社については情状により同条二項を適用し、被告人金義男については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は、それぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算した金額の範囲内で、被告人金義男については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人会社を罰金二五〇〇万円に、被告人金義男を懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人金義男に対して情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右の刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 小久保孝雄)